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山際淳司『スローカーブを、もう一球』を読む

 部屋を整理している。本さえなければナンテことないので、その本を7割処分しようと考えてい。開高健は井伏鱒二の書斎には国語辞典しかないことを理想と書いていたが、そんなのではなく、増えて足の踏み場が限られて、そうなると掃除をしようにもできないからだ。本当は見ないでボンボン箱に詰め込んでしまえばいいのだが、服や外で飲まず、ひたすら(というほどでもないか)本中心の生活だったので、一冊ずつ確かめている。そうすると読んでいない本もあったり、もう一度読んでみようかというのもあって、時間がかかる。春にはすっきりして迎えようと思う。

 さて、基本は小説と演劇中心の読書だけれど、時々つい買ってしまったりする本もある。その一冊だったのが、『スローカーブを、もう一球』。これには、ヒーローの陰に隠れた何人かのスポーツ選手が描かれている。もっとも江夏はスーパーヒーローだが、日本シリーズでのあの21球の江夏の心は、ホウ、と思った。マウンドの江夏のところに行って囁いた衣笠のエピソードもいい。

 ただ、表題作のピッチャーは断然いい。マウンドで、一塁手のあいつには彼女がいて、二塁手のあいつにも、・・・何故俺には・・・というのも高校野球って、こんなもんでいいんじゃないかと思う。ピンチの時に捕手がマウンドに行って攻略法を話し合っているかと思えば、オイオイというようなことだったり。

 スター選手にも壮絶なドラマはあるけれど、そうでない選手にも心を動かすドラマはある。最近朝のテレビを見てて、どのチャンネルでも同じ内容。順番が違うくらい。スターはあの局に任せて、うちは」というところが出てこないかナと思う。著者の山際の語り口は淡々としてて、極めて暖かい。

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