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小幡欣治『坐漁荘の人びと』を読む

 首相も務めたことがある西園寺公望の別邸を舞台に2.26事件周辺を扱っている。評伝劇になるのだろうが、名前とちょっとしたことだけを知っている人が虚実入り混じって描かれているものを読むと、その人が身近になってくる。

 司馬遼太郎によると、日清・日露戦争に勝利した日本の軍隊はその時の体質のまま昭和の戦争に入ったらしい。日露戦争を描いた『坂の上の雲』を読むと、あの勝利は露西亜の思い上がり故の不手際で勝利しただけだった。乃木は人間的にはすぐれていたのかもしれないが、指揮官としてはどうも能力に欠けていたようだ。

 この小幡作品でもそういう軍部と日本の首脳たちの愚かさが垣間見える。芸者上りの女中頭の気風のよさと発言が舞台を活き活きとしてくれる。ただ、当時の空気みたいなものは伝わるけれど、芝居はそういう説明だけではないと思う。ここから、さて、と、料理が始まるのではないかと思う。

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