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チェーホフ『桜の園』を読む

 チェーホフが死の前年に書いた最後の作品は「喜劇 四幕」と書いてある。

 『三人姉妹』のナターシャが『桜の園』ではロパーヒンとなって現れる。ナターシャより強力になっている。彼は農奴の子だけれど、最終的には桜の園を買う。そういう時代なのだ。そういう時代の流れを知ることもなく、だから抗うこともあんく、無邪気に翻弄されていく人達と違い、ロパーヒンは流れを知り、だから桜の園を救う術を知っており、アドバイスするんだけれど、桜の園の人たちは耳を貸さない。桜の園を出た彼らが、果たして生きていけるのか。悪い人たちではないだけに、思いやられる。

 そういえば、チェーホフの作品に悪人はいない。対立やズレ摩擦はあるものの、悪人はいない。ただ時代の流れ、というよりはうねり、か、そこでは人間の愚かさが出ることもある。ただ、希望はある。トロフィーモフの言葉の中にそれを感じた。『かもめ』のニーナの最後の台詞にも似たような響きがあった。

 人間だけを見つめて、その人間を語ることはできないんだろう。ある状況が引き出す人間の一面。作家はそこに目を向けるのかもしれない。

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