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様々な場面、様々な人たち(2)

 大学で演劇部に入った。プレハブの文化部の部室。高校時代の憧れの人が演劇部だったので、演劇がどういうものか知りたくて、と、言っているが、実は何故かわからない。覚えていない。

 大学紛争の残り火がくすぶっている頃で、部室にはヘルメットや角材があった。上演する学生会館ホールはガラスが割れ、壁には「日本帝国主義打倒!」みたいな落書き。「この辺で血が流れたんだ」と先輩は、「コーヒーでいいか?」と同じ口調で教えてくれた。

 その先輩の学費は年12000円。ぼくは36000円。入学した時の学費のまま卒業まで続く。ぼくが院に進んだ時は値上がりしたものの、70000万だったか・・・。とにかく、高校時代より安かった。

 変な学生が多かった。ぼくは先輩に連れられてあちこち、その変な人たちの場所に足を運んだ。ただ座って、観てるだけ、聞いているだけ。マージャンなんか知らないのに。でも、それなりに楽しかったし、そこでぼくは人間を観察する面白さを知ったように思う。そして、そういう流れの中で人脈みたいなのができ、ロックバンドを舞台に置いてのミュージカルとかもできたのだ。

 ぼくは今まで上の人から色々と可愛がってもらえたように思う。行動力がある訳でもないし、コミュニケーション能力がある訳でもなく、「いつも静かに笑っている」ような人間だった。記憶が明瞭でないのは、たぶん、いつもボーッとしてたからだろう。国立大学に合格できるとは思っていなかったのに、そうなって、ぼくは不思議な思いのまま、無防備だったような気がする。何があっても「ああ、そうなのか」てなことで、それを受け容れてたように思う。「肌の色をきれいに見せるにはどういう照明にするかを学ぶために、ストリップ劇場で照明のバイトをしたんだよ」にぼくはスゴイと思ったけれど、今ではそれがウソだと思うオトナになっちまった。

 昨年、英語教員の10日間研修を受けて、びっくりした。7割は無駄で下らないものだったが、岡山大学の先生のオールイングリッシュの講義の何と面白かったことか。最近の学生は幸せだ。ぼくの英文科ではなかった。だから、芝居に軸足を置いたのかもしれえない。その軸足は今もぼくを支えてくれているけれど。

 夏の終わりの感傷か。

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コメント

壇ふみさんと森本レオさんのラジオ番組で、「とにかくまっすぐ」歩きながら実況中継をする高校生の飯田青年の声が流れました、よね?私はその番組の録音テープを聞いただけですが。その行動力と発想力に感動したものです。

投稿: たかお | 2008年8月19日 (火) 19時23分

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