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チェーホフ『ワーニャ伯父さん』を読む

 『イワーノフ』のイワーノフ、『かもめ』のトレープレフ、ワーニャはその系譜にある。頭がよくて、それ故時代や社会に多くのNOを見出しながら、なす術がない。そして、たぶん、女性を引きつける容姿。ここまで似通った人間を描いていると、作者が反映されているのではないかと考えてしまう。イワーノフとトレープレフは銃で自殺、ワーニャは時代と社会の俗悪、独善の権化のようなセレブリャーコフを銃で殺そうとするが果たせず、「つらい」と泣く。死ぬこともできない。『かもめ』のトレープレフは演劇に多大な関心を持ち、幕開きには「新しい」芝居の脚本と演出をする舞台が展開するし、いずれは作家になる。『かもめ』には「喜劇 4幕」とあり、どこが喜劇なのだ!と思うけれど、トレープレフに自分を重ねていたのであれば、チェーホフは自嘲気味に「喜劇」としたのかもしれない。そして、ワーニャでは病は深まっている。

 一幕でのアーストロフとアーストロフの代弁をするソーニャの台詞に、自然保護を訴える部分がある。その通りと強くうなずてしまう。それが1890年の終わりに書かれたことに驚くとともに、チェーホフの英知を感じた。

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