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宮本輝『花の降る午後』を読む

 人は何故生きるのか。それは結構意味不明な、バカげた質問かもしれない。小学生のころの「何しよるん」「息しよる」と似ている。

 人は何故生きるのかわからない。でも、ぼくは何故生きるか、こたえることはできる。最後のピースをはめ込むためだ。歳を取るということは、ジグソーパズルの作業に似て、最後になるほどに、全体が見え、だからこれだ、そういう判断ができるようになることではないか。

 宮本輝の全集は、以前読んだものをまた読んだりして、以前読んだからもういいか、とかで、7割ほど読んだ。宮本は好色だが、それを満たすほどはモテない男かもしれない。読むほどに、作者が見えてくるような気がするけれど、ぼくの考えはあまりに一般的すぎるし、宮本には外れているだろうナという思いはある。ただ、宮本も、たくさんの小説を書きながら、最後のピースをはめ込む瞬間に向かっているように思う。そこまでには紆余曲折がある。曲がって、折れる道だからこそ、最後のピースの価値は高まる。でも、誰もそのピースをはめ込むことはできないのだろう。

 宮本のエッセイ集の文庫を読んで、ぼくは小説を読み始めた。エッセイ集に井上靖についての文がいくつかある。宮本が靖を尊敬していることがよくわかる。ぼくは靖のいわゆる中間小説が好きだが、靖の描く女性に比べると、宮本の描く女性は魅力がない。読んでて、惚れない、あこがれない。底意地か? ああ、ぼくには宮本の足元にも及ばない、と、思う夜更け。

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