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甘酒の誘惑

 甘酒という文字や音に接すると、何故か自分のないぶでフワーッと広がるものを感じる。その理由が最近確信できた。

 ぼくの住んでいるところは大内(おおち)。昔は梅林があった。梅林といってもテニスコート2面あるかないかの広さで、今はもうない。ただ、近くに住んでいるぼくは、見知らぬ人に「この辺に梅林があったんじゃないですか」とたずねられることがよくあったが、それも最近はほとんどない。

 犬と散歩していると、家々の庭や空地のあちこちに梅の木が多いことに気づく。その梅が盛りを迎えようとしている。梅の花が盛りの頃、大内の婦人会が梅林に店を出した。学校から帰るとそこに走ったものだった。オフクロも近くのおばさんも、いつもより小奇麗にしていて、花よりもそれがその場を明るくしていたように思う。その店に何を出していたかはおぼえていない。ただ、甘酒だけは覚えている。おそらく、甘酒という言葉には、あの時の空間と匂いと笑い声が混ざり合ったガヤガヤが詰まっているのではないかと思う。

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