« 白い一日 | トップページ | 向田邦子『思い出トランプ』を読む »

佐野洋子『100万回生きたねこ』を読む

 子どもだまし、という言葉がある。ただ、子どもをだますのは難しい。たとえば、ジブリのアニメがヒットした背景にはオトナが感じたからこそがあるように思う。あちこちで書いたり、しゃべったりしていているが、『となりのトトロ』の最初に出るのは「忘れ物を届けにきました」という文字。子どもが忘れ物をしているだろうか。

 絵本は難しい。子どもだからと侮ると作品自体が乱れてしまい、子どもがそっぽを向く。何もないものは何も生まない。書き手が、全心で向かわないと作品にならない。

 『100万回生きたねこ』を若い女性から頂いた。昔、子どもに読んだ記憶があるものの、今回読んで、「何故、今度、ねこは生き返らなかったの?」と訊かれなくてよかった、と、胸をなでおろした。

 この絵本を渡されたとき、はて、何故、と考えた。読んで、ぼくなりに、理解できた。「何故生き返らなかったのか、わかりますか」。ぼくは、子どもに読ませて、同じ質問を発して、話し合えばいいのだ。絵本の背景には人間世界が広がっている。それをわかりやすく、表現する。並大抵のことではない。

|

« 白い一日 | トップページ | 向田邦子『思い出トランプ』を読む »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

先日は、突然おじゃましました。ウッドデッキが、とてもお洒落で別荘のようでした。気持ち良い自然と、ご家族に囲まれた先生の笑顔に元気をもらいました。
私は他に『てぶくろを買いに』を読み、書店の絵本コーナーで号泣してしまいました。これからも、本との出会いを楽しみにしていきます。

先生、ありがとうございました。

投稿: 広瀬です。 | 2009年5月 8日 (金) 21時33分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 佐野洋子『100万回生きたねこ』を読む:

« 白い一日 | トップページ | 向田邦子『思い出トランプ』を読む »