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椎名誠『哀愁の街に霧が降るのだ』を読む

 小説というより、回想録。ここが面白い、というより、描かれている世界の空気というか感触が、学生時代に近いものがあり、懐かしさを感じるものがある。

 学生時代、田舎の国立大学の学生はみんな貧しかった。当時の授業料は36000円。月額3000円だ。今の高校の授業料よりずっと安い。

 ぼくの下宿の部屋は4畳。ある友達の部屋は3畳。その3畳で8人で酒を飲み、眠った。数人は足を廊下に出したりして。部屋に鍵はない。何も盗まれるものはなかった。当時、「出前一丁」が出た頃で、それを買い置きしておくと、友達が持っていくということがあったくらい。ただ、それは「無断で借りた」のであり、後日そっと置いていたりした。もっとも、時にはスープ袋の代わりにコンドームを入れたりしていたが。それにしても、開いて、またくっつける作業に敬意を表したものだ。

 酒は、一番安いウイスキー。サントリーホワイトが1000円までいかなかったと思うが、それさえ贅沢品。レッドやニッカのHIHI(ぼくたちはヒーヒーと読んでいたが)ニッカ。それを金を出し合って買い、女学生やらの話しだけを肴にあおっていたのだった。

 そういう学生時代の空気がぼくの周辺に漂いながら、楽しめた。

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コメント

こんばんは。

私は椎名誠の『岳物語』が大好きです。

投稿: み~け | 2009年10月10日 (土) 23時24分

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