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手錠をかけられたような、脱走犯になったような

 最近の高校生は腕時計を持たない。携帯に時計があるからだ。校内では使用禁止の学校が多いが、教室には時計があるし、チャイムがあるので、不都合はないようだ。ぼくは授業をする時、腕時計は不可欠。外して、教卓に置いて、時間を見ながら進める。教室の時計は正確でないことが多いし、いちいち後ろを振り向くのも面倒だ。授業が終わると、それを腕につけて、帰る。そして自分の机に戻って、外す。ところが、外れなくなった。

 外れなくなると、急に腕時計がきつくなる。映画やテレビで、脱走した人間が懸命に手錠を外そうとするシーンを思い出した。どうにかしようとすればするほど、腕に絡まってくるようなじれったさにますます焦ってくる。機械科に行って、切ってもらおうと思った。時計がどうんってもいいとさえ思えてきた。しかし、時計の根元(時刻を表示する部分)にベルト(金属製のものでもベルトでいいのか。ちょっと違和感がある)をとめているであろうネジが上下にある。帰って、眼鏡用のドライバーで外せばいい、と、思った。

 勤務時間が終わると学校を飛び出し、家に帰ると、ドライバーを探した。いつもは邪魔なくらいに目につくのに、こういう時に限って見つからない。ようやっと見つけて、外そうとする。しかし、回せど回せど、変化はない。ドライバーの頭に人差し指を当て、親指と中指と薬指で軸を押さえて回すのだが、親指の付け根辺りが痛くなるのだ。堂が寺にも、寺が堂にもなりはせぬ。

 で、まだ、外れていない。外れない腕時計はますます手錠のように、そしてぼくは脱走犯のように思えてくる。他のことをしていれば、気にはならないのだけれど、気になりだすと、もう脅迫してくるほどだ。はて。

 もし、ぼくに手錠がかけられ、スキを見て逃げ出したら、外すことより、より遠くに逃げることに専念した方がよさそうだ。

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