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山本一力『研ぎ師太吉』を読む

 学校の図書館で借りた『だいこん』を読んで、山本一力が好きになった。特別な人間ではないが、普通の人の日常が丹念に書かれていて、それが何とも清々しく、魅力的なのだ。研ぎ師太吉の世界も温かい人に満ちている。そういう人を引き付ける太吉が魅力的であることは言うまでもない。その太吉は特別な人間ではない。ただただ、包丁を丁寧に研ぎ、まっすぐな人間であるというだけのことで、近くにいそうな気がする。そこがいい。もしかすると、ぼく達みんながそういう人間になればーそれはちょっとした心がけだけで近づけるような気がするがーぼく達の日常世界は風通しのいい、愛せるものになるのではないかと思えてくる。

 『研ぎ師太吉』で一つだけ不満が残った。それは、犯人を挙げる手法が、太吉の世界と異質に思えるのだ。もう少し手立てはなかったのか、と、山本に言いたくなる。

 山本作品は江戸時代が舞台。ちょっとした描写に、そんな時代だったのかと、一つ物知りになったという嬉しさもある。こうなったら、しばらくは山本作品を読み続けて、山本一力を語れる人間の一人になってみたい。

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