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竹内一郎『トキワ荘の夏』を読む

 修士論文を書いている時の日課のひとつは、小飼商店街の中の小さな本屋に歩いて行き、『ワイルド7』を一冊買い、それを読むことだった。全部で48巻だったか、それは何度も読んだ。それくらい面白かった。今度瑛太主演で映画になるという。

 ある演劇評論家が入院した役者への見舞いに『ガラスの仮面』を持っていくというのを読み、本屋に全巻注文したら、未完だったが40冊届いて、支払いに苦労した。また、帰りのカーラジオで石原慎太郎が面白いと言ったというので『沈黙の艦隊』を注文した。10巻に満たなかったような気がするが、もう少し多かったかもしれない。これも面白かった。

 子どもが生まれ、実家に居候し、本がどうしても邪魔だったので、7割ほどを泣く泣く処分した。ただ、漫画は手塚治虫だけは残した。

 さいふうめいという名前でも書いている竹内の脚本は伝説のトキワ荘が舞台で、あああの漫画家だナとすぐにわかる登場人物。漫画ファンにとっては興味をそそる。どこまでが実話なのかはわからない。手塚が石森(のちに、石ノ森)章太郎の作品を盗作したというのは、手塚ファンにとってはシンドイエピソード。

 作品は、しかし、出来がよくない。説明的セリフが多すぎる。加えて、住人の一人に小説かがいて、漫画にNOを述べるのも、過去にあった議論の繰り返しでしかない。加えて、彼が「トキワ荘の夏」というタイトルでいずれ作品を書くと宣言するに至っては笑ってしまう。アパートを舞台にせず、たとえば藤子不二雄と思われる二人が出入りするラーメン屋を舞台にしたほうが芝居としては面白くなったのではないかと思う。

 古本屋で『ワイルド7』を見かけたら、是非買って読んでみてください。技術の進んだ現代でも、あの世界を映画化できるのか、かなり疑問。これだけは映画館に行かなくては。

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