« 受信すること | トップページ | 卒業式に思う »

米原万里『打ちのめされるようなすごい本』を読む

 丸谷才一は「わたしは彼女を狙ってゐた」というタイトルで解説を書いている。日本の書評レベルをあげたと自他ともに認める丸谷が自分が書評を担当している新聞のメンバーに加えたいと思っていたのが、そのタイトルの意味。丸谷に評価されること自体、米原にとっては「最高の読み手」の称号を与えられたに等しい。

 『打ちのめされる~』は米原の書評を集めたもの。とにかく読む範囲がハンパじゃない。この世のありとあらゆる本を読み、それについて丁寧に、的確に(彼女が書くならそうだろう)、面白く書いている。もし何かについて知りたいと思ったら、目次を追えば、必ず見つかるというくらい、チョー博覧強記の人のその栄養源が、加えてその本の背景も含めての読み方までを教えてくれる。明らかなことは、この米原の書評集こそ「打ちのめされるようなすごい本」なのだ。もし望みを叶えてもらえるなら、宝くじよりも、ぼくは彼女の書棚を弁当とビール持ち込みで一日だけ閲覧させてもらいたいと思う。背表紙を眺めるだけでいいのだ。

 打ちのめされるような人を失ったのは惜しい。あまりに惜しい。

 

 

|

« 受信すること | トップページ | 卒業式に思う »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 米原万里『打ちのめされるようなすごい本』を読む:

« 受信すること | トップページ | 卒業式に思う »