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『帯久』

 あまり演じられることはないんです。というのもあまり面白くないからです。志の輔はそう言って、『帯久』を語り始めている。ぼくは、米朝(アメリカと北朝鮮じゃないよ。桂米朝)で聴いて、ラストの爽快感がそれまでの退屈と悲惨を一気にひっくり返す噺が好きだった。

 志の輔は彼なりに変化をつけて語っているが、米朝で聴いた時面白さを超えていなかった。志の輔は、演劇のコミック・リリーフ的なものを入れて、上手につないでいく。でも、米朝の話のほうが面白いのは、泉屋(和泉屋? 音だけだと、どっちでもいいけれど)と火事の関係。米朝のほうが泉屋の切羽詰まった感じが強く出ている。その分、最後の爽快感に救われる。落語のなかでこんな爽快感を感じるのは、ない。そして、人間が好きになる。

 志の輔の『帯久』、土曜までに返却します。とりあえず、名人米朝で。

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