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田崎健太『偶然完全』を読む

 ラジオで「勝新山脈が面白い」という言葉を聞き、書店に電話で注文した。翌日、「そういうタイトルの本はないんですが、多分『偶然完全』のことだろうと思いますが、それで注文してよろしいでしょうか」と電話があり、お願いした。

 勝新太郎伝、と副題にある。中学生の頃だったか、テレビで『兵隊やくざ』を観て、日本軍の上下関係の厳しさの異常を感じた。同じ頃、テレビで『コンバット』を観て、日本軍との全くの違いに、これじゃあ戦争に負けると思った。

 黒澤明が『影武者』を勝で撮ろうとしたが、勝が現場にビデオカメラを「自分の演技の研究のため」持ち込み、それが黒澤の逆鱗に触れ、仲代に代わった。その経緯もこの本では詳しく書かれている。当時は勝に興味はなかったが、これを読むと、勝の『影武者』を観たくなる。

 勝は借金まみれの中で死んだ。派手な遊興やプロダクションの倒産など、ニュースで報じられるそういうマイナスのイメージしか与えられなかった。しかし、勝が背負っている「勝新太郎」というブランドを守ろうとしたためであったことがわかった。風貌に似合わず、繊細で優しい気配りをする人だったのだ。そして、俳優として、映画人として、超が100くらいつくこだわりの人だったのだ。勝の映画を観たくなる。

 あの時たまたまラジオをつけた。そしてこの本に出会った。偶然完全である。

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