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ポロン(1)

 演劇大会で上演が終了してホッとしてるときだったと思う。部員の女の子が「子犬が産まれたんです。見に来てください」。ぼくは聞き流した。休みの日、そのことを思い出し、子どもを連れて見に行くことにした。そのとき、子どもの母親は「もらったら」と言った。それで、見に行って、8匹くらいいた子犬から、上の娘が「ソックスはいていrつみたいで、これがいい」と言った。前足のくるぶし付近が白かった。
 子犬をもらって、そこの家の人も我が家の子どももぼくもよろこんだ。でも、その結果、その子犬は母親と兄妹から引き離されることになる。ぼくは時々そのことを思い、申し訳ない気持ちになる。うちがもらわなかったら、どうなっていたかはわからない。もっと恵まれた家に行っていたかもしれないし、そうでないかもしれない。人間でも、そういうことはあるから、現状を受け入れてもらうしかない。

 ポロン、という。上の娘が名付けた。4歳になる前のことで、意味とかを訊くこともないか、と、思い、音の組み合わせとしては悪くはないナと思った。以来、13年と3カ月、ポロンはぼく達と生活を共にしてきた。人間の年齢としては、70歳近い。最近は要領を得て、無駄がない。家を出るとき、「留守番」と言うと、動かない。家の前の畑で所有者が仕事をしているときに帰ってくるとその人の方にちょっと走っていって吠える。その人いわく「あんたが帰ってくるまではおとなしかったんやけどな」。
 おそらく責任感みたいなものを感じているんだろう。さすが70歳のオババ。でも、吠える元気があるだけいい。

 ぼくは早起き。暗かろうが寒かろうが、5時には散歩に行きたい。最近、ポロンは「行くよ」といっても動かない。首輪をつけて引っ張っても動かない。自己主張。で、仕事から帰って散歩に行く。疲れてんのに。ぼくも、彼女もカウントダウンに入っている。仲間、あるいは同志、戦友を煮詰めたような関係だ。彼女のことを記しておいても、と、思う。

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