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山田太一『心細い目のサングラス』を読む

 祖母が亡くなった時、いなくなったということだけで、特に死を身近なものとして意識しなかった。あれから10年、今度は父が逝き、今度はオレだナ、と、死をかなり意識するようになった。この10年の間に老いの浸食が進行しているせいもあるだろう。そうやって、老いや死と向き合うようになっており、覚悟(諦めという言葉は使うまい)が明確になっていくのだ。

 山田の作品の舞台はデイケア施設の事務室。
 母が介護施設に入っていて、土曜日に行くし、介護施設のスタッフルームを舞台に脚本を書いていたこともあるせいか、感触がかなり違う。一つは登場人物が多すぎて、雑然としているように思えること。経営者夫婦がいずれ介護を要するだろうことを示しながら、デイケアだから深刻な症状の人はいないかもしれないが、介護されることの現実と問題が希薄だから迫ってこない。介護施設をやめて、そのデイケア施設で働くことになった男が笑えないというのも、どうもとってつけた感じが否めない。

 老いに伴う問題は多い。医療費が、介護費用が、と、騒いでも本気になっていない。オリンピック招致くらいにオールジャパンでやれよと言いたくなる。加えて、老人が持っている金を使うようにさせるこの国の政治はどうなっているんだ。

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