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蓬莱竜太『木の上の軍隊』を読む

 ひさしが書こうとしていた脚本を『まほろば』でひさしから絶賛(?)された蓬莱竜太が書いた。どの程度の資料が蓬莱に渡されたのかはわからない。しかし、当たり前だが、ひっしだったらこうは書かなかっただろうという感触が読んでいて絶えず湧き上がった。

 8月15日を挟んで、2年間木の上で暮らした二人の兵士の物語。その二人を木にしばり続けるものがどうも弱い。一つには、「語る女」がどうも邪魔でいけない。語る言葉が違うようにも思う。また、具体的なものが希薄。たとえば、彼らは「敵軍」が捨てた食べ物や、タバコ、酒で命をつないでいくが、缶詰とかのラベルの話が出てきてもよさそうに思うのだが、皆無。
 もっとも、若い蓬莱にそれを求めるのは無理なのかもしれない。蘇軾や飢えの経験がないから、その辺に頓着がなかったのが、あえてそぎ落としたのかもしれない。でも、食うことへの執着が薄い。

 ぼくは、芝居は特殊化と一般化だと考えているが、木の上の兵士の特殊な物語は一般化できなかったような気がする。蓬莱がもう一度手を入れることを期待する。

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