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『たんぽぽ』を観る

 伊丹十三作品でぼくが一番好きな作品。これほど食い物にこだわった作品が、映画だけでなく、小説や芝居にもあるだろうか。伊丹のこだわりが徹底していて、文明批評だけでなく、人間批評にもなっている。今は亡き俳優の風貌と演技、今やトップの俳優の若い頃の姿が、何とも嬉しい。伊丹の相棒の宮本信子は凛として魅力的。アメリカの西部劇映画を上手に使っているのも、伊丹の知性か。最後に、公園で母乳を与える母子の姿が延々と流れる。これも面白い。その二人の名前がクレジットにちゃんと出てるのも、伊丹の偉いところ。

 『本郷菊坂赤門通り』というドラマはぼくの最後の仕事だった(助手だったので、それらしい仕事はしていないけれど)。古谷一行演じる新聞記者の上司、編集長役で伊丹が出演していた。編集長のデスクには本が積み重ねられていた。本番前にそれを眺めたら、極めてクセのある本で、「この本誰が?」とADに訊いたら、「それ伊丹さんの本です、全部」という返事。ふう~ん。それからしばらくして、伊丹は監督で才能を発揮しはじめた。何かを成し遂げる第一条件はこだわりの度合いだろう。もと生きて、もっと映画をつくって欲しかった。

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