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百田尚樹『夢を売る男』を読む

 『海賊と呼ばれた男』の作者がこういうのも書くのか、と、思いながら読んだ。

 百田は直木賞を取った。同時に発表される芥川賞が「純文学」、直木賞は「大衆文学」というような括られてしまい。芥川賞作品の方が「高尚」みたいな感じを持たれている。百田には、その辺の鬱屈があるのかもしれないと思いながら、コイツにはないだろうと思った。コイツは自分が面白いと思ったものを書いているのだ。

 日曜の朝5時15分からNHKで放送される番組。タイトルが出てこないのだが、落語や漫才等を2つやった後、司会者がゲストと話す。司会者はローテーションみたいなもので2,3ヶ月で変わる。桂文珍が司会者の時に百田が出た。仕事を辞めて小説を書き始めたら、彼の奥さんが生活の問題を告げた。百田は書きかけの原稿を渡した。奥さんが「書きなさい」と言った。そういう話をしていた。

 百田は『夢を売る男』で「純文学」みたいなものにこだわっている作家を叩く。痛烈に叩く。何故なら、読者がいないからだ、彼らの頭の中に。そうだろうと思わせられた。具体的な名前を挙げると怒る人がいるかもしれないが、大江健三郎は読者のことを考えているのだろうか、と、思う。

 文学は作家、文芸評論家や研究者にあるのではない。読者の中にある。読者から支持される読みものが文学でいい。

 『夢を売る男』は文芸の世界を扱いながら、今の日本にも痛烈な一撃を浴びせている。読んでいい一冊。

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