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演劇右往左往~1975年 後篇~

 薬学部に群馬から綿貫というちょっと変わった女の子が入学し、演劇部に入ってきた。マンガが得意で、秋の公演では大活躍だった。
 演目は井上ひさしの『道元の冒険』。道元の時代と現代が交錯する芝居。道元の時代は当然僧侶が多いから坊主頭でなくてはならない。『藪原検校』の時はみんな頭を丸めたが、そうすると現代のシーンで困る。そこで綿貫が坊主のかつらを作ると言い出した。部室の前に椅子を出し、それに座る。新聞紙で頭の形をなぞりながら、糊で貼ってい、端を切り取り、そして肌色の絵の具をを塗り、完成という方法。綿貫は公演パンフレットでも見事なイラストを描いた。

 『道元の冒険』には歌がある。ぼくはロックバンドを使いたかった。その頃、フェア・バンド。シャフトはIさんがらKさんに代替わりしていた。Kさんは英文科の先輩。快諾してくれた記憶がある。曲はKさんがつけた。フェア・バンド・シャフトをステージにのせ、生演奏でやることにした。会場は郵便貯金会館。白川のほとりにあり、好きなホールだった。

 公演が終わり、部長を譲ることにした。ところが、候補の執行(しぎょう)が、フェア・バンド・シャフトのドラムスに引っ張られていた。ぼくはKさんのアパートに行き、抗議した。ところが話しているうちに、今度はぼくがヴォーカルに誘われた。冗談だろう。歌えねえ。何度断っても、KさんはLPレコードを5枚押しつけ、「聴いてくれ。それで判断してくれ」と言った。一応受け取って帰ったものの、部屋にオーディオ機器はラジカセしかなかった。数日して、聴かないままLPを返し、無謀な申し出は丁寧に断った。ただ、あそこで、自分の音痴を考えず、部長もやめることだし、ちょっと覗いてみるかの軽い気持ちでやっていたらどうだったろう、と、思うことがある。後悔後に立つ。

 

 

 

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