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演劇右往左往~Officeせんせいしよん(1)~

 確か安倍証のアパートだったと思う。そこに4人が集まった。安倍雅浩(以後、まーさん)、安倍証(以後、しょーさん)、角陽一郎(以後、マルス)、そしてぼく。高校演劇の顧問。当時はまだ大御所がいた頃で、彼らに反旗を翻す気持ちなんて毛頭なく、もっと面白いことができるという考えが根底にあったと思う。その辺では一致していた。そして、その頃は明確ではなかったが、それぞれがつくる芝居は全く違った。それがよかったと思う。

 まーさんは、確かな人間観と巧みな設定の面白い芝居を書いた。しょーさんは、独自な視点で突っ込み、遊び心満載の芝居を書いた。マルスは、けた外れのエネルギーと機材を投入し、高校演劇では類がないと思える舞台を創出した。その3人に及ばないぼくは、ただ花火を打ち上げるだけだった。その4人は、仕事と演劇部の指導に加えてさらに大きな負担(ぼくらの誰もそんなことは思わなかったけれど)を抱えることになった。

 しょーさんは「せんせいしよん」という名前を言った。「よは小さいよではなく、大きいよです」。英語のせんせしよんと「センセイをしてる」という大分弁をかけたネーミング。みんなOK。ただ、劇団ではなく、面白いことをしてる人たちを応援し、巻き込むためにも、冠詞はOfficeにしたいとぼくは言った。それも了承され、Officeせんせいしよんは誕生した。独身男の潤いのない殺風景な部屋だった。でも、ぼく達4人は静かだがワクワク感が全身に満ちていた。

 高校演劇を経験しながら、大分に残った卒業生には演劇をする場所がない。それが根っこにあった。ぼくらが3年間苦楽を共にした生徒が演劇に関わりたいという気持ちがあれば、その場所を用意したかった。当時、大分にも幾つかの劇団、それめいたグループはあった。しかし、そのどれもが高校生を受け容れるものがなかったのだ。ぼくはそう思っていた。

 じゃあ、とりあえず、自分たちで舞台に立とう。こんなに面白いんだぞ、悔しかったら俺たちを超えてみろ、という招待状と挑戦状をまずやろうじゃないか。そして、Officeせんせいしよんの旗揚げ公演が決まったのだ。

 

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コメント

先生、せんせいしよんの(2)は消したんですか?続きを読みたいです。

投稿: たかお | 2014年3月30日 (日) 09時51分

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