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飯野浩明『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』を読む

 無人島に一つ持っていくとしたらの質問に井上ひさしは「自分が使っている『広辞苑』」と答えた。彼は辞書の余白にあれこれ書き込みをしているとのことだった。今一番を読みたい本は、ひさしが書き込みをした『広辞苑』だ。

 辞書をつくっている人は、おそらく、日本語の最前線にいると思う。ただ、古典から現代にいたるまでの莫大な知識があってこそ、だと、思う。飯野のこの一冊はそれを痛感させてくれると同時に、日本語への興味をかきたててくれる。辞書は言葉を端的に説明するのに苦闘すると思うが、そのせいか、わかりやすい文章。加えて、例も、適切で、理解を深めてくれる。

 最近、本を読むと、「大学時代に読んでおけばよかった」と思うことがある。この飯野の本はもちろん出版されてはいないけれど、そういう一冊だ。最近の大学生は幸せだと思う。

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『夜伽の部屋』を再開する

 ずっと考えてはいたけれど、何かが足りない感じがして、その何かがわからなかった。
 ようやく、それを見つけた気がした。ノートに書こうとしたけれど、打つことにした。以前書いていたものを消し、書き始めた。親父が死んだ年の夏に思いついた脚本だけれど、もう5年になる。あのまま書いていたら、『雨の街、夜の部屋』みたいになっていたかもしれない。あれよりは少しはいいものになると思う。

 年金生活者は、とにかく無駄遣いをしないようにしなくてはならない。基本的には早寝早起き、脚本中心の生活とし、合間に散歩、読書、ギターで歌うことを気分転換に入れる。

 書くことはほぼ決まっている。5年間考えたんだから、主要な部分は書ける(はず)。ところが些細なところで停止する。現在は、久しぶりに再会した時の挨拶部分。どうでもいいのかもしれない。しかし、流れない。流れないのは何かが止めているからで、それをボンヤリと考えている。天啓を待つのみ。

 以前、若い女優に一人芝居を書く約束をした。その時は舞い上がってあれこれ考えた。肋骨骨折でストップした。約束が気になった。でも、とにかく今の脚本を完成し、その脚本の中に台詞にだけ登場する人物の一人芝居にしたいと考えている。そのためには、『夜伽の部屋』の完成が急務。急務だけれど、台詞一つにも納得いく取り組みをしたい。

 だから、ぼくは後2本脚本を書く。今年の夏が目標。

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ネガを読み撮る

 読み撮るというのはおかしいかもしれない。ただ、スキャンするというと、カタカナ言葉が多すぎる気がしてイヤなんです。

 一回、とにかく、読み込んでみた。ただ、中には汚れているものも少なくなく、それで、フィルムの汚れ落としについて調べた。洗浄剤やエタノールやらの記事を読んだが、水洗いが無難と思い、従った。靴下干しを買ってきて、水で洗い、それにぶら下げて、重しとして下に洗濯バサミを挟む。乾いたものを細かい繊維質の布で丁寧にぬぐう。スキャナー(読み撮り機というべきか?)に丁寧に読み取る機能があることを知り、前の倍以上の時間をかけて読み撮る。
見た目に、違いはわからない。自己満足か。

 その過程で、過去の人たちと再会できた。
 別れた女性に出くわした時は、何回も見直した。思わず、仮定法過去完了と仮定法過去の組み合わせで考えてしまう。そうなってくると、あの女性のネガはないか、と、狂おしいほどに集中して一日を過ごす。廃屋になりかけている実家のあちこちを、親父の倉庫まで探すけれど、見つからない。思い出は、いつも、どこかが欠けているものだ。

 ところが、夢に出てくる。写真の彼女はにこやかだから、夢の彼女もにこやか。いいなあ。でも、彼女が隣の誰かに言う「バカなんですよね」。

 そう。そうなんだ。消えろ、消えろ、束の間の幻。

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『夏の夜の夢』を読む

 大学1年の12月頃、演劇部の部長になった。上級生がみんな卒業するから。でも、何故、オレ?
 でも、卒業できない先輩が残った。
 2年の終わり、外で公演をうって、玉砕しようと思った。それまでは学生会館のホールでの公演だった。
 そして選んだ脚本が『夏の夜の夢』だった。
 ぼくが大きな声で言ったのかもしれない。でも、何故? 他の部員が他に脚本を読んでいなかったからかもしれない。
 その過程については、以前書いたかもしれないから省くけれど、あの時、何故この脚本を選んだのか、わからない。
 ティターニアを演じた奥村さんは妖艶だったことは覚えている。
 今回松岡訳を読みながら(上演台本は小田島以前の寄せ集め)、何故選んだのかという疑問は深まった。
 ただ、演じて、面白かった。
 上演の仕方によるんだろうな。

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